コラム
働いていても生活保護は申請できる?受給条件や収入の仕組みを解説
目次
- 「働いているから対象外」と思い込んでいませんか?
- 働いていても生活保護を申請・受給できる条件
- 欠勤で給与が減った場合も生活保護を相談できる
- 無理に勤務時間を増やせるとは限りません
- 働きながら生活保護を受ける場合の医療扶助
- 収入が増えた場合の保護費・停止・廃止
- 生活保護を受けると職場に知られる?
- 生活保護は生活を立て直し、暮らしを支える制度です
- 生活保護の相談・申請窓口と必要書類
- 働きながら生活保護を利用するときのQ&A
- 生活に困ったときに覚えておきたい3つのポイント
- 【関連コラム】
- STVラジオ『ようへいと学ぼう!エンジョイ・ライフ』
「働いているから対象外」と思い込んでいませんか?
毎日仕事をしていても、病気やけがで数日休んだだけで、家賃や光熱費、食費の支払いが難しくなることがあります。
特に時給制で働いている場合、仕事を休んで欠勤扱いになると、休んだ時間分だけ収入が減ってしまいます。
「働いている自分が生活保護を相談してもよいのだろうか」と、ためらう方も少なくありません。
しかし、働いていても生活保護は申請できます。
利用できる資産や年金・手当などを活用してもなお生活に困窮し、世帯の収入認定額が最低生活費を下回る場合は、働いていても生活保護を受給できる可能性があります。
また、給与などの収入については、必要経費や勤労控除などを考慮して収入認定額が算定され、原則として最低生活費との差額が保護費として支給されます。
このコラムでは、収入が足りないときに知っておきたい制度の仕組みについて、わかりやすくご紹介します。

めぐみ社長

ようへいさん
でも、働いていたら生活保護は申請できないんじゃないですか?

めぐみ社長
実は、働いていても生活保護は申請できます。
利用できる資産やほかの制度を活用してもなお生活に困窮し、世帯の収入認定額が最低生活費を下回る場合は、受給できる可能性があります。
仕事を辞めるためではなく、働き続ける生活を支えるために利用できる制度なんです。

ようへいさん
今回は、働きながら生活保護を利用する仕組みや、病気などで収入が減ったときに早めに相談することの大切さをお話しします。
働いていても生活保護を申請・受給できる条件
生活保護と聞くと、「まったく収入のない人が受ける制度」というイメージを持つ方がいるかもしれません。
しかし、生活保護は収入の有無だけで判断される制度ではありません。

世帯の収入認定額と、地域や年齢、世帯人数、家賃などをもとに算定される「最低生活費」を比較して判断されます。
働いて給与を受け取っていても、利用できる資産やほかの制度を活用してなお生活に困窮し、世帯の収入認定額が最低生活費を下回る場合は、原則としてその差額が保護費として支給されます。
つまり、生活保護は「働くか、生活保護を受けるか」という二者択一の制度ではありません。
働いていても生活保護は申請でき、世帯の収入認定額が最低生活費を下回る場合は受給できる可能性があります。
厚生労働省も、就労収入がある場合でも、利用できる資産やほかの制度を活用しても生活に困窮し、世帯の収入認定額が最低生活費を下回る場合、受給できると案内しています。
※出典:厚生労働省「生活保護制度」
欠勤で給与が減った場合も生活保護を相談できる
北海道の最低賃金は、2026年8月時点では時給1,075円です。
なお、2026年度は時給1,131円への改定が答申されており、2026年10月1日の発効が見込まれています。
※出典:北海道労働局の答申資料
最新の金額は北海道労働局のウェブサイトでご確認ください。
※出典:北海道労働局「最低賃金について」、

※以下は、2026年8月時点で適用されている時給1,075円を用いた単純計算です。
仮に時給1,075円で1日7時間、月20日働いた場合、総支給額は単純計算で月15万500円です。
ただし、ここから税金や社会保険料などが差し引かれることがあります。
さらに、体調不良などによる欠勤時間分の賃金が支払われない場合は、その分だけ収入が減ってしまいます。
たとえば、年次有給休暇などを利用せず、欠勤した時間分の賃金が支払われない場合、1日休めば約7,525円、3日休めば約2万2,575円分の賃金が減る計算です。
もともと生活費に余裕がなければ、数日の欠勤でも家賃や食費、通院費を確保できなくなる可能性があります。
もちろん、「収入がこの金額なら必ず生活保護を受けられる」ということではありません。
最低生活費は、居住地域、世帯人数、年齢、家賃、障害や子育ての状況などによって異なります。
生活保護の利用可否は、預貯金などの資産やほかの収入も確認したうえで、原則として世帯単位で判断されます。
それでも、生活費が基準を下回っている可能性があるときは、「働いているから無理」と決めつけず、福祉事務所へ相談することが大切です。
無理に勤務時間を増やせるとは限りません

「収入が足りないなら勤務時間を増やせばいい」
「仕事を掛け持ちすればいい」
と考える方もいるでしょう。
しかし、すべての人が簡単に勤務時間を増やせるわけではありません。
長い離職期間を経て再就職した方、離婚後に仕事を始めた方、病気や障害を抱えている方、介護や子育てと仕事を両立している方など、それぞれに事情があります。
本人が長時間働くことを希望していても、勤務先に長時間勤務の枠がなければ、働く時間を増やすことはできません。
無理をして仕事を増やした結果、体調を崩し、働き続けられなくなってしまうことも考えられます。
今できる範囲で仕事を続けながら、不足する生活費を制度で補うことも、暮らしを安定させる一つの方法です。
働きながら生活保護を受ける場合の医療扶助
生活保護には、食費や光熱費などに対応する生活扶助、家賃に対応する住宅扶助のほか、医療サービスに対応する医療扶助があります。
医療扶助の対象として認められた診療については、原則として費用が医療機関へ直接支払われ、本人の窓口負担はありません。
勤務先の健康保険など被用者保険に加入している方が生活保護を受給する場合は、健康保険から給付されない自己負担部分が医療扶助の対象となる仕組みです。
※出典:厚生労働省「健康管理支援事業及び医療扶助について」

ただし、すべての診療や眼鏡などの費用が無条件で認められるわけではありません。
指定医療機関の利用や事前の手続きが必要になる場合もあるため、受診前に福祉事務所の担当者へ確認しましょう。
緊急の場合は医療機関と福祉事務所へ速やかに事情を伝えてください。
収入が増えた場合の保護費・停止・廃止
生活保護を受給した翌月に給与が増えたからといって、必ずその時点で保護が廃止されるわけではありません。
収入の増減に応じて保護費が調整されたり、今後も安定して生活できるかを確認したうえで、停止や廃止が判断されたりします。
給与収入が増えても、その全額がそのまま保護費から差し引かれるわけではありません。
必要経費や勤労控除などを考慮して算定された収入認定額が増えた場合、その額に応じて保護費が調整されます。
また、一時的に保護を必要としない状態になった場合は、「停止」となることがあります。
一方、特別な事情がない限り保護を再開する必要がないと認められる場合、または今後おおむね6か月を超えて保護を必要としない状態が続くと認められる場合は、「廃止」が検討されます。
ただし、実際の判断は収入の安定性や世帯の生活状況などを踏まえて個別に行われます。
厚生労働省の通知でも、一時的に収入が最低生活費を上回っただけで直ちに廃止するのではなく、今後も保護を必要としない状態が続くかを見極める考え方が示されています。
ただし、「必ず半年間は受給できる」という一律の制度ではありません。
※出典:厚生労働省「生活保護法による保護の実施要領の取扱いについて」
収入や生活状況によって個別に判断されるため、給与を受け取ったときや勤務状況が変わったときは、福祉事務所へ正しく申告する必要があります。
生活保護を受けると職場に知られる?
働きながら生活保護を受給しても、福祉事務所から勤務先へ「この人は生活保護を受けています」と一律に通知される制度ではありません。
生活保護を申請したという理由だけで、雇用主に一律の届出義務が生じるわけではありません。

ただし、収入確認のために給与証明書などの提出を求められたり、必要に応じて勤務先へ照会されたりする可能性があります。
勤務先への連絡に不安がある場合は、申請時に福祉事務所へ事情を伝え、どのような確認が行われるのか相談しましょう。
生活保護は生活を立て直し、暮らしを支える制度です
生活保護を受けることは、人生を諦めることではありません。
病気やけがで働けないときに体を休める。
生活が安定したら、無理のない範囲で週に数日働く。
働ける時間が増えれば、収入申告をしたうえで保護費を調整してもらう。
このように、その人の状態に合わせて生活を立て直していくことができます。

生活保護は、山登りの途中にある山小屋や給水所のようなものともいえます。
一度立ち止まり、体調や生活を整えてから再び前へ進む人もいれば、年齢や健康状態に応じて継続的な支援を受ける人もいます。
どちらも制度が想定している支援の形です。
生活保護の相談・申請窓口と必要書類
生活保護の相談・申請窓口は、現在住んでいる地域を管轄する福祉事務所です。
福祉事務所が設置されていない町村では、町村役場でも申請手続きを行えます。
相談だけでも構いませんが、申請を希望する場合は「生活保護を申請したい」と窓口で明確に伝えてください。
必要な書類がすべてそろっていなくても申請できます。
申請後には、通帳の写しや給与明細など、収入・資産の状況が分かる資料の提出を求められることがあります。
保護の決定は、申請日から原則14日以内、調査に時間を要する特別な理由がある場合でも最長30日以内とされています。
※出典:厚生労働省「生活保護を申請したい方へ」、厚生労働省「生活保護制度に関するQ&A」
食事を減らしている、家賃や光熱費を払えない、病院へ行くお金がないといった状態になる前に相談してください。
「自分が対象になるか分からない」という段階でも構いません。
働きながら生活保護を利用するときのQ&A

カラくん
働いていても生活保護を申請できるの?

めぐちゃん
申請できるよ。
給与収入があっても、利用できる資産やほかの制度を活用してもなお生活に困窮し、世帯の収入認定額が最低生活費を下回る場合は、受給できる可能性があるよ。

カラくん
仕事を休んで今月だけ収入が減った場合も相談できる?

めぐちゃん
相談できるよ。
ただし、生活保護を開始するかどうかは、世帯全体の収入、資産、生活状況などを調査したうえで判断されるよ。
病気による休業の場合は、勤務先の健康保険の被保険者で支給要件を満たせば、傷病手当金など、ほかの制度を利用できるかも併せて確認されるよ。

カラくん
生活保護を受けると職場に知られたりするの?

めぐちゃん
福祉事務所から勤務先へ、生活保護の受給事実が一律に通知される仕組みではないよ。
ただし、提出された給与明細などだけでは収入や雇用状況を確認できない場合などには、必要に応じて勤務先へ照会される可能性があるよ。
不安がある場合は、申請時に確認方法を相談してね。

カラくん
生活保護を受けると医療費の窓口負担はなくなるの?

めぐちゃん
医療扶助の対象として認められた診療については、原則として費用が医療機関へ直接支払われ、本人の窓口負担はないんだよ。
ただし、指定医療機関の利用や事前の手続きが必要になる場合があるよ。
勤務先の健康保険に加入している場合は、健康保険が優先され、給付されない自己負担部分が医療扶助の対象になるよ。

カラくん
翌月の収入が増えたら、すぐに生活保護は廃止されるの?

めぐちゃん
一時的に収入が増えただけで、必ず直ちに廃止されるわけではないよ。
収入に応じた保護費の調整や、今後も安定した生活を続けられるかの確認が行われるよ。
判断は世帯ごとに異なるため、収入の変化は必ず福祉事務所へ申告しよう。

カラくん
パートやアルバイトでも申請できる?

めぐちゃん
雇用形態にかかわらず申請できるよ。

カラくん
収入がいくらまでなら受給できる?

めぐちゃん
全国一律の収入上限はないよ。
最低生活費は地域、年齢、世帯人数、家賃などによって異なるため、同じ給与額でも判断が異なる場合があるよ。
生活に困ったときに覚えておきたい3つのポイント
「まだ働けているから大丈夫」と無理をする前に
① 働いていても生活保護の対象になる可能性がある
判断基準は仕事の有無だけではありません。
利用できる資産やほかの制度の状況を確認したうえで、世帯の収入認定額と最低生活費を比較して判断されます。

めぐちゃん
② 生活保護は不足する分を補う制度
給与などについては、必要経費や勤労控除などを考慮して収入認定額が算定され、原則として最低生活費との差額が保護費として支給されます。

めぐちゃん
③ 食事・住まい・通院を我慢する前に相談する
対象になるか分からなくても、福祉事務所へ相談できます。
一人での相談が難しい場合は、支援団体や相談機関、不動産会社などに同行支援の有無を尋ねてみましょう。

めぐちゃん
【関連コラム】
生活保護の申請を考えるときは、借金や家賃、住まい探し、保証人の問題が重なることもあります。
生活を立て直すために役立つ関連情報も確認しておきましょう。
● 生活保護を受けるなら自己破産が必要?借金があるときに知っておきたいこと
● 生活保護受給中でも他の市町村へ引っ越せる?引っ越し費用や住まい探しのポイント【札幌】
STVラジオ『ようへいと学ぼう!エンジョイ・ライフ』
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